「あれ…?ハルマ。起きたんだ。」

風呂から上がったチハルは、下着姿のまま俺を見る。

「あぁ…」

俺は口から煙を吐き出し言う。


「…寝癖。可愛いっ」


チハルはそう言って俺に近づく。

そっと俺の頭に伸びた白い腕が、一瞬あの夢と重なった。


あの夢はチハルだったのか…?


そっと撫でられる俺の頭の感触。
母親なんてもの知らないが、まるで母親に撫でられているみたいで落ち着く。

「ハルマ…」


顔を近付けるチハルに抵抗はしなかった。

ゆっくりと唇が重なる。
柔らかい感触。

左手で灰皿を捜すと、俺はタバコを揉み消した。