普段夢なんか見ない俺が、この日久しぶりに夢を見た。


暗い穴の中でしゃがみ込む俺。

出口と思われる所からは一筋の光が射す。



綺麗…



そう思った時、その光の中から一本の細く、白い腕が俺に差し延べられた。


誰だろう…


そう思い手を掴んだ瞬間
はっと目が覚めた。



まだぼーっとする俺は右手を見つめた。

暖かい温もりがまだあるような気がした。


変な夢…


部屋には微かにシャワーの音が聞こえる。

俺は持ち上げた右手を力無く落とすと、テーブルの上のタバコを掴んだ。

タバコ一本取り出すと火を付ける。


カチッ…

ライターの音で一気に現実に戻った。