秋の朝が明ける。

綺麗な空気に、柔らかく降り注ぐ太陽の光。

俺はバイクを転がし自宅のアパートに向かっていた。

辺りはシンと静まり返る中、俺の走らせるバイクの音だけが響く。


朝の5時。
仕事帰りの俺は、早く布団に潜りたくてたまらない。

勝手に下りてくる瞼を強引にこじ開け、明け方の住宅街を疾走する。

いつもの事。


俺は、結城 ハルマ。19歳。
って言っても本当の名前は知らないし、本当の歳も知らない。

誕生日すらもわからない。


俺は赤ちゃんの時に捨てられた、いわゆる"捨て子"。

施設の園長に拾われた俺は、園長の苗字"結城"をもらい、名前もハルマと名付けられた。

誕生日は1月1日って事にしてる。

歳は、小学校に入った年から数えている。