「オニィ」
瑞葉が眠っている俺の手を撫でてくれた。
「オニィは側にいるって言ったよ。忘れちゃった?それとね、ねー、オニィ。静流ちゃんと赤ちゃんはどうするの?」
瑞葉の瞳から大粒の涙がポロポロと流れ落ちた。
「…一葉…」
壊れてしまった静流が、時々俺の名前を呼ぶ。
抱き締める事も出来ない。
ある一定の所までしか、静流に近づけない。
横たわってる俺に近づけない。
わりー、静流。
その時、義一夫妻が廊下に見えた。
瑞葉が対応しているが…
義一は、俺が身体に居ない事に気付いたみたいで、キョロキョロと捜してくれている。
…え…目が………合った…?