「……だから…」

「だから?」

俺は又、静流のしたたかさにやられたらしい。
言葉で示せと、静流の目が言っている。

俺は速ぐ鼓動を抑えて、覚悟を決めた。

「……だから……だからこれから大事にするから。今まで出来なかった分も幸せにするから。ムリはすんな‼︎」

《一葉、一気に言ったな》

〈ご馳走さま、かしら?〉

「茶化すな‼︎」

俺は2人に怒鳴って恥ずかしさを紛らわした。

静流は、今まで見た事のない。
それは綺麗な綺麗な微笑みをしていた。

その瞬間。
俺は本当に静流とお腹の子をずっと守っていくんだとの実感と、幸福を味わえた嬉しさとの高揚を感じていた。

俺達は、瞬きもせずに、見つめ合っていた。





「……ゴホンゴホン……一葉君よぉ…」

この、桃の声で我に返るまで。