私は恋をしている。

去年の初夏。私は恋に落ちた。

私が彼に出会ったのは、偶然立ち寄った本屋。
大好きな本をお会計に持っていったときに、
彼がお会計をしてくれた。
彼は私と目があった瞬間、頬を緩ませた。

二コっという感じではなく、
二へっというかんじ。
ゆるっと、顔が緩んだ。

…と同時に、
私の胸がじわっとあったかくなった。

そんな顔が私の頭の中を支配する。

フレームの薄い丸メガネに、
深みのあるこげ茶の目、
少々伸びている髪を耳にかけた、
大きめのワイシャツが似合う、なで肩の彼。

私はその日から本屋によく行くようになった。

そしてある日のこと。