「まあ、落ち着けよ。っていうか、おまえ……婚活サイトで相手探してたんだな」

何だか小バカにしたような目。

「わ、悪いですか? 会費が安いから友人に頼んで登録してもらってたんですよ! でも……ちゃんと真面目に結婚を考えてる人のサイトなんだし、何もそんな風に言わなくたって」

「別に悪いとは言ってないよ。ただ、よく考えてみろよ? その婚活サイトにおまえが狙ってるような金持ちが本気で登録してると思うか?」

「それは……」

確かに……樹さんのような有名企業の御曹司やそれなりに身分のある人だったら、ネットで婚活なんてしないのかもしれない。

「じゃあ……どうすれば」

答えを見失った私に、樹さんは身を乗り出しながらこう言った。

「俺が協力してやろうか? おまえが『玉の輿結婚』できるように」

「えっ」

ポカンと固まる私に彼は続ける。

「今度本物のセレブが集まるパーティーに連れて行ってやるよ。それがおまえへの慰謝料ってことでどうだ?」

「ほ、ほんとに? 私をパーティーに連れて行ってくれるんですか!?」