七回目の春

彼の回りにも友達や、家族がいそうな気配はなかった。私と同じく一人。何となく親近感がわいた。


「俺は一年七組君は？」


「一年三組です。」


違うクラスだった。こんな人がクラスに一人でもいたら…………そんなことを考えていた。俯いて黙っていると、いきなり視界に大きな手が現れたら。


「教室まで着いていくよ。俺、一人だし」


「ありがとうございます。私も一人なんです」


人と話すとき、無意識のうちに敬語になってしまう。校舎に入り、教室までの道を歩いていると、いきなり何故なのかと質問された。


「人と話すのが少し苦手で………。無意識のうちにこうなるんです。」


「そうなんだ。じゃあ烏早さんって呼んでもいいかな？」


なぜ聞いたのかわからない質問もされた。けれど、彼には何か考えていると考えることにした。


「いいですよ。私も桜波君とお呼びしても？」


彼は頷いた。勿論と言うように二回首を縦に振った。いい友達になれればうれしいのにな。そう思った。


「ありがとう」


三組の教室に着き、私が礼を述べると彼は無言で首を横に振った。そしてそのまま七組の教室がある方へ歩いていった。


教室の中は、以外と静かだった。あまり人が集まっていなく、少しずつ居る人は、本を読んだり、外を眺めていたりしていた。仲の良い友達の居る人は廊下に出ているようだ。この教室の窓からは公園の桜がよく見える。しかし、私の席は廊下の方にあったため、よく見えなかった。