「本当にそんな早くに決定されて、よろしいんですか?」



五十嵐さんが、心配そうな声でわたしに問う。



「確かにそうです。特殊な仕事ですし、楽な仕事でもありません」



八雲さんも五十嵐さんの言葉に賛同する。そんな軽い気持ちでやりたい、と言ったわけじゃないのだけれど、どうやらそれはあまり伝わっていないようだった。



「あ、それなら、今回の依頼を研修期間にすればいいんじゃないですかね」



「研修?」



「おためしみたいな感じで。ちょっと自分には向いてないな、と感じたら、さっきの発言は撤回していいですし」



「あ、それでいいかもしれないですね」



八雲さんに五十嵐さんが賛成したことで、どうやら意見はまとまったようだった。



確かにそれで、わたしがあまりにも役に立たずに、この人たちの足を引っ張っているようだったら、この期間中に辞めればいい。



もちろん、八雲さんの提案に異論はない。



「分かりました。じゃあ、とりあえず短い間ではありますが、よろしくお願いします」



楽じゃないってことは分かっている。
苦しくなるってことも予想ができている。



けれど後悔だけはしたくない。




ーもう、逃げたくない。