「それで、みえたんですよね?」
佳穂さんの責めるような口調。
とても小4とは思えない威勢に、私の背筋も縮こまる。
「まあ、はい。みえました」
「なんでそれを最初?」
「佳穂さん、落ち着いてください。霊だって、普通の生きている人間とうり二つですから、自分の能力や体質に気づかないのは、珍しいことではありません」
一万人に一人が持ち合わせるこの能力に気づいてしまった以上、そこから見て見ぬ振りをするわけにはいかない。
「そんなことよりも、これからどうするか。それを考えません?」
「それはどういう?」
「あなたは特別な人間です。だから、ここで働く。その選択肢があるわけです」
大量生産されているわけではない。この能力は、数に限りがある。
きっと彼らにとってわたしは、喉から出るほど欲しい人材。いや、能力だろう。
そしてなにより、わたし一人の力で、一人の人間の未練を解消することだってできるかもしれない。
「もちろん無理にとは言いません」
八雲さんは、後からそう言ったが、こんなにもやりがいがある仕事に、高校生のうちに出会えたことを感謝したい。
私にやらない、という選択肢はなかった。
「ここで働かせてください。精一杯頑張ります」