ところでチラシとは何だろう。
この店はなにか、特別なサービスでも行っているのだろうか。
完全に外野のわたしが首を突っ込むのは筋が違うかもしれないけど、ここにいる以上、話についていけなくなることだけは避けたい。
「あの、チラシって」
「本当になにも知らないんだ」
佳穂さんの呆れた言葉が返ってくる。
「すいません」
「いいですよ。見せてあげます。こちらへどうぞ」
八雲さんは椅子から立つと、そのまま入り口へと向かう。私もそれについて行く。
ついには店の外に出て、やっとそこで止まる。
店のドアの左どなりにある窓。
そこに確かにチラシはあった。
『成仏できない方たちへ。
ここではそんな皆様のお手伝いをさせていただきます。
少しでも明るい気持ちで成仏していただけるよう、全力を尽くしますので、ぜひ気軽にご来店ください。
喫茶今宵の店主一同』
ここに書かれているチラシの言葉を、すぐには理解ができなかった。
成仏?
お化けとか、地縛霊?
じゃあやっぱり、出るってこと?
「戸惑ってますか?」
チラシを見て愕然としていたわたしを、八雲さんは心配してくれたのだろう。