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近所の大通りを右に曲がり、人通りの少ない道へと入っていく。



その道を進み続け、行きどまりまで行ったところで、もう一度その場で右を向く。



そこには、全体が赤いレンガで組まれた少々レトロで、でもなぜか人を寄せつけないような、そんな雰囲気が漂う喫茶店があるという。



ー喫茶今宵ー



昔ながらのフォントで作られたさびれたように見える看板は、その店ならではの味ともいえる。



そして今、私は、その入りづらい店の前で、右へ左へ、いったりきたりしながら、入ろう入るまいかを迷っているところだった。



元はと言えば、わたし自身が、いきたい、そう思ってきたわけではない。



友人のオカルトオタクから、調べてくるようにと出された調査依頼だった。



心の奥底、奥底では『自分一人でいけばいいじゃん』とも思っている。だがそれを言ってしまえば、今まで積み上げてきた友人からの信頼を失うことになるだろう。



同じ過ちを二度は繰り返さない。



煮え切らない返事のもと、わたしはこの路地裏の怪しげな店へと駆り出されたのだった。



ここで立ちどまっていても、しょうがない。どうせ明日、朝一番に聞かれるだろうし、わたしにはこの店に入る、という選択肢しか残されていない。