先輩が不思議そうに問えば、
私はポーチの中身を見せる。


「絆創膏、消毒液、湿布、包帯もろもろです!」


私は誇らしげにそう言えば、伊月先輩は
「おー」と小さく感心していた。


「いつもそれ持ち歩いてるの?」


「はい、おに─…、兄が毎日リュックに
入れときなさいって」


「……へえ」


そう言えば、先輩は無関心そうに
返事をした。


「私、こういうの得意なんです、
はい、だから指見せてください」


私は再びドーンと胸を張り小さく
手を広げれば、先輩はため息をついた。


「得意…って、日頃何回それに
お世話になってんの」


「そ、そんなに怪我してないです」


そう言い返せば、先輩はどうだか、と一言
応えると、ポーチの中の絆創膏を一枚取った。


「これだけでいいし、自分でやるよ」


「そう…ですか…」


なんだか残念としょんぼりしていれば、先輩はすでに絆創膏を貼り終わっていて、私の表情に苦笑いしていた。


なんてその時、先輩の手が私の顔の横に
伸びてくるものだから、ピクリと反応する。


「せ…ぱ…?」


気付けば、先輩は私の頬をスリスリと
撫でていた。


……!?


あまりの不意打ちに、私は困っていれば、
今度はフッと鼻で笑われる。


「猫は猫でも、お前は大人しいね」


「なっ……くすぐったいです」


ね、猫って、異名だし……っ


なんて口に出せる余裕はなく、
恥ずかしくて縮こまりそうだった。


でも、…なんだか彼にあやされている様で少し
むかついたが、やっぱり嫌ではなかった。