「…っ、」


パチリと目を閉じギュッと瞼に
力を込めた。


「大丈夫?目に砂入った?」


真っ暗な視界の中で理沙の声が
耳に入る。


私はコクリと頷けば、「大丈夫」と
一言応え、目をぱちくりさせた。


一、二回繰り返すたび目に涙が溜まり、
そしてそれと同時に伊月先輩が私に
近づいてくるのがわかった。


先輩?


何かと思い、それを確かめたいばかりに
私はつい目を擦ってしまった。


しかしその手を伊月先輩は掴めば、
私に言った。


「擦ったらだめでしょ」


「っ!」


こ、これは………、


「ち、近いです……ッ」


離れて、放してぇ。


突然の密着に口がパクパクしてしまい、
かなり混乱しているうちに…、


「取れた」


彼の指先が砂を取り除いてくれていた
様で、その姿にぽかんと唖然してしまった。


「え、あ…ああ、」


ようやく、今の状況が掴めれば、
私は頬を赤らめた。


び、びっくりした…心臓に悪い。


「~~~~っ」


そう思うも、私は先輩にお礼を
言いかけた、その瞬間だった、



───パシッ