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先輩を逃してしまった私は、
とぼとぼと歩き体育館へ戻る。
初めて任された仕事はあえなく失敗した
挙句、先輩にも軽くあしらわれる始末。
全く、伊月先輩は少し私を
甘く見過ぎているのではないか。
そう思うも、
最後に彼が放った言葉は、本当に申し訳なさそうで、困った顔をするものだから、何も言えずにただ先輩の背中を見つめる事しかできなかったのも確かだった。
はあ…。
何回目のため息だろうか、するたびに気が落ちる事を分かっていながらも、せずにはいられなかった。
そんな時、下ばかり向いて歩く私とは別に、遠くから誰かが走ってくる音がした。
「…織」
「いお…っ」
「伊織!!」
何度目かではっきりと自分が呼ばれている事に
気づけば、パッと勢いよく前を向いた。
「!?」
そこには息を切らした理沙がいて、少し汗をかいていたから、相当走ってきたのが分かった。
「っはあ…ッ」
「ど、どうしたのそんなに慌てて」
私は理沙の背中をさすりながら、落ち着かせるも、そんな事はどうでもいいとばかりに私を見つめ
応えた。
「ご、ごめ…私……」
「り、理沙??」