「伊月先輩!いますか??」


中の反応は無く、音一つ聞こえやしないのに、
まだ扉の前で問いかけ続けた。


「先輩っ!」


……ッ。


「もしかして、倉庫の中でサボって
閉じ込められたりし「ばーか」


「っ!?」


悶々と焦り考えている私に、倉庫の外側、裏から聞こえる声は紛れもなく聞き覚えのあるものだった。


私は小走りで声のする方へ行けば、
それは案の定彼だった。


「伊月先輩!」


「どーも」


日陰に入り、なんとも気だるげに座っていた伊月先輩を見つければ、私はホッとするよりも先に呆れてしまう。


「なにしてるんですか」


「こっちのセリフ」


そう言われれば、伊月先輩は何故自分を探しに来ているのか不思議な顔…と言うよりも、嫌そうな顔をしてみせた。


……っ


その表情に少し頬を膨らませれば、応える。


「私、今日から2週間怪我した子の
代理役なんです」


心配していたのに、嫌々と眉を細める
ものだから、つい機嫌を損ねた。