先ほどの血気的な音や気迫に満ち満ちた場所とは
かけ離れた、穏やかで静かな所に私は来ていた。


理沙が言うには、彼は集団で騒ぐのを
毛嫌いする人だそうで。


「図書室…にはいないか」


だから静かな場所を思い当たり次第
探してはいるけれど、、


見つからない。


そうこう思っていれば、理沙からの
メールが届いた。


〈佐藤先輩、確保〉


まるで逃亡者を捕まえた警察官の
ような文だった。


嫌々連れて行かれる佐藤先輩の表情が
想像できる…。


私も早く伊月先輩を見つけねばと意気込めば、
思い残していた場所に向かう事にした。


本当はあんまり行きたくないけど。


でも自分から引き受けた事だし、
そうも行かないよね。


そう自問自答すれば、私は覚悟を
決めた。


「次は旧校舎!」


伊月先輩と出会った、薄暗い旧校舎に。