「もう、初っ端からこんなにグダグダでどうするんです、そろそろしっかり紹介させてあげて下さい」


先輩に劣らない何ともまとめぶりを発揮する理沙を、私は改めて勇ましく思えば、それと同時に自己紹介をする場を設けてくれた事を感謝した。


一つ、二つ、深呼吸をすれば、
私は部員の前で応えた。


「1年の、雨寺伊織です、
2週間お世話になります」


何とも普通な紹介に、言ってから納得が
いかなかった私は、再び付け加えるように、


「仲良く…してください」


と言えば、先輩方は優しく笑って
綻んでくれた。


それから、主将は大食いだとか、運動部は女子に飢えているだとか、そんな他愛のない話を繰り広げれば、私はうずうず気になっていた事を聞く。


「これで全員じゃ…ないですよね?」


どこを見渡しても、伊月先輩はいなかった。


あえてそう聞く事で、自分から伊月先輩の名を
出すのがなんだか嫌で、うまく逸らした。


そう言えば、主将が呆れたように
腕を組みながら応えた。


「伊月と佐藤はまたサボりだな、多分佐藤の方は
すぐに来ると思うけど…まあ他は委員会かな」


「サボり…」


そう言えば、昨日理沙がそんな事言ってたな。


結構頻繁に来ないのかな…?