……



「も、もう…今度から絶対ノック
しないと怒るからね」


「思春期の子供かあんたは」


なんて、コントがましい会話を繰り広げていれば、あっという間に体育館に着いた。


入る前から伝わる、ボールの反発する音と、バッシュと床が擦り合ってキュッとした短い音が何度も何度も耳に響く。


体育館コートを駆け回る足音でさえ、見なくとも
もう気迫負けしてしまいそうなほどだった。


決して甘く見ていた訳でもないが、
先程の浮ついた気持ちはかき消された。


頑張らないと。

ここに来てようやく自分に渇が入り、私はその勢いを体育館シューズの靴ひもにぶつければ、グッと引っ張った。


「みんな背が高くて驚くかもしれないけど、
優しいからあんまり怖がらないであげてね」


体育館に入る前に、理沙は私に気を
利かせそう言ってくれた。


私はそれを素直に頷けば、いよいよ
初めての部活動に足を踏み入れた──。





体育館に入るなり、理沙はホイッスルを
鳴らし、部員を呼び集めた。


「集合──!」


その声に、部員は俊敏な動きを見せ、
私達を囲む様にやってきた。


ひいっ