「ダメじゃないですか、佐藤先輩が
来ちゃったら大騒ぎですよ」


「ええ、だって理沙ちゃんがこの子に
しよーって言ったんじゃん」


一体、私を指し何の話をしているのだろうか
分からずに、ただただ置いていかれるばかりで。


とりあえず理沙もこの件の関係者で
ある事は話から見て理解できた。


そして、置いていかれる私とは一方、
理沙はしびれを切らしたのか、


「とにかく私から伝えとくから
佐藤先輩はいりません!ハウス!」


「え〜」


まるで犬をしつけるような言い草で、理沙はそう言えば、彼は不満そうに声を漏らすと、あっけなく教室を後にした。


彼がこの場を後にした事で、教室や廊下は
いつもの雰囲気を取り戻す。


しかし若干、教室の方はがやついていた。


「一体何だったの?」


嵐が過ぎ去ったような気持ちに駆られ、
私は口をパクパクさせて理沙を見た。


「ごめんね伊織、びっくりしたよね」


そんな私に理沙は苦笑いしながら謝る。


すかさず私は戸惑ったように首を横に
振れば、「大丈夫」と意思表示した。


「あの人って…」


「あ、うん、同じ部の先輩」


「…そう」


まだ少しフリーズしてしまう私に、理沙は
騒ついた教室を出て場所を変えようと、
提案する。


私はそれに応じれば、理沙の手を取り
この場を後にした────。