〝晴れましたね、先輩〟


「…そうかも」


俺はぼそりとそれだけ言えば、
真衣はへえ、と応えた。


「重いよね?」


「え?」


「体」


「……」


まるで心の中を見透かされたかのような、
意味深な言い方に、一瞬ドキリとした。


「代わってあげたいけど、
それは出来ないよね」


「…」


「柊がちゃーんと気をつけてれば、
風邪なんて引かないんだからね〜?」


「───…」


ああ、この感じ───、


雨寺とは対照的に、このゾクリとした
感覚は、すごく漠然的で、危険な味を覚える。


そして同時に、欠落感というのだろうか、
力が抜けていくような、そんな気持ちに駆られた。


「…はあ、」


俺は小さくため息をつくと、応えた。


「…そうだね、気をつけるよ」


そう言えば、真衣は再び妖しく笑い、
後ろから抱きしめ、耳元で囁いた。



「私の事、殺したい?」