「待ちくたびれた」


「まだ5分もしてないじゃん」


「モデルは1分1秒も欠かせないの〜」


「はいはいごめんね」


そう言って、真衣の頭を撫でると、
嬉しそうに肩をすり寄せてきた。


端から見ればラブラブな恋人同士。


でも実際、駆け引きのような、そこにちゃんと
気持ちがあるのかは、定かではない。


だがこの行為には意味がある。


今日は特に会う理由もなかったけど、今回のドラマの撮影がたまたま俺ん家の近くの街だったらしく、それから真衣は会いたいの一点張りだった。


「本当に休憩中抜け出して来てよかったの?
休憩って言ってもそんなに時間ないだろ」


「いーのー…、それより柊さ、
なんか顔赤くない?」


真衣はそう言って俺の頬に両手を置くと、
体温を確かめた。


「熱だね」


「まじか」


確かに言われてみれば、
だるい気もしない。


「昨日雨にでも当てられたの?」


昨日───…、