そうだ…もう詮索はしないんだった。


心配も裏目に出ちゃうんじゃないかって…
つい慎重になりがちだな、私。


…考え過ぎもよくないよね。


そう思い、私は一言応えた。


「急ぎの用とかあったら言ってね」


気を利かせるように、遠回しな言い方は、
帰って彼女を反応させてしまう。


「あ、そんな深刻なやつじゃない
からねー?勘違いしないでもう」


苦笑いしながら理沙はそう言い捨てると、
続けて応えた。


「こないだ買った通販の住所登録、一桁間違えちゃってたみたいで、配達の人だいたいの目星はついてたんだけど、一応の確認電話だって」


「えっ、あ…、そういう……」


本当に考え過ぎだった…っ。


私は自分に呆れると、
小さくため息をこぼした。


「てゆーかこの人混みだとどこも
混んでそうだよね」


理沙は少し困ったように応えると、
腕を組み、頬に手をのせる。


「もう二駅くらい先にショッピングモール
あるし、そっち行く?」

「そうだね」


理沙の案に迷わず賛成すれば、私達は
Uターンして、駅の方へ戻って行った。



────それからは充実したひと時を理沙と
過ごし、私の1日は終わったのだった。



……なので、伊月先輩があの人混みの中紛れ込んでいた事なんて、私は当然知らなかった。