勇香said

私は着替えるとカフェの方に降りた。

??「勇香。やっとおきたー?」

中からハースキーな声で言うのは明利(あかり)さん。

172cmの長身でスリムなレザーのジャケットを着こなしている、美人。この"haru"のオーナー。

勇香「あかりさん。おはようございます。」

明利「おはよう。って、おいこら!
ひろと、おきろ。!」
今日も明利さんのどなり声が"haru"に響く。
小さなカフェだからなおさら。
でも、この店にはほとんど常連しか来ない。みんないつものように笑っている。
というのも、この界隈では名物なのか。(笑

和希「なんだまたやってんのか。」

扉がカランコロンといって、
和希(かずき)さんが入ってくる。

和希さんはこの界隈のなかでは圧倒的な力をもっている。
さらさら揺れる金髪の前髪に、鍛え上げた体、いつも無口でクールな和希さんに私は惚れていた。

大翔「かずきー、あかりに殺されかけたー。」

和希さんが入ってくるなり大翔さんは言
う。和希さんは表情を変えずに、

和希「ホントに明利に殺されんぞ。」

和希さんは大翔さんに顎でくいっとやると、
自分は空いている席にどかっとすわる。

大翔さんは恐る恐る振り替えると明利さんが手に持った焼酎瓶をドンッと置く。
店内の注目が集まる。
明利さんは大翔さんに詰め寄る。

明利「てめえ。いい加減にしとけや。」

大翔「は、はい。」

和希「だからいったろ。」

和希さんは雑誌からかおをあげずにいう。

義也「さすが、夫婦漫才。」

店内に笑いがおこる。

明利・大翔「おい。」

明利「ニヤニヤすんなよ。!変態じじい!」

大翔「そうだそうだ!」

明利「お前もうるせーよ!」

大翔「え。あ。はい。」

義也「じじいって。いや。え。うそでしょ。10歳だけやん。」

義也(よしや)さんのうろたえる姿にまた笑いが起こった。

明利さんも大翔さんもわらっている。
和希さんも。

私はこの時間が大好きだった。