雪に乱反射する月光が、あたりを幻想的に色づかせていた。 「…満月、綺麗」 丸い綺麗な、その月にそっと手を伸ばした。 届かないと知っていながら、手を伸ばす。 空を彷徨うかように弱々しく揺れる白い手。 何も掴むことのできない愚かな手______