白が舞っている。 柔らかくて冷たくて、綺麗な雪が、 朧げで儚い世界を真っ白に染め上げていく。 雪の上に仰向けに倒れ込めば、 耳元で雪が軋む音がして。 寒いはずなのに、 なぜか身体中の血が逆流しているかのように熱い。 吐く息が、夜空へと白い煙のようにたなびいていた。 雲が流れていく。 灰色だった夜空が徐々に暗い暗い藍紺の色を覗かせて、 雲に隠れていた、金色に輝く月が顔を出す。