と、
リーダー女「ちょっと」
と、ケバ女の中のリーダーっぽい奴が話し掛けてきた。
「何?」
リーダー女「雪様だけでなく、他の黒薔薇の方達も奪うなんてどういう事かしら!?」
「奪う?」
リーダー女「後ろに皆様を隠しているじゃ無い!」
「隠してるんじゃ無くて、隠れられてるんだけど」
リーダー女「なっ!」
と、顔を赤くするリーダー女。
「醜い女の争いに、参加する日が来るなんて」
と言って、何となく窓際を見ると、
!?
雪「有栖?」
ちょっ、えっ?
何で真冬と真幸が居るの!?
えっと、
雪の腕を掴んで廊下を走る私。
雪「有栖!どうしたの!」
と、走りながら言う雪。
「ちょっとね」
雪「ちょっとって」
と話している内に、下駄箱に付いて靴を履き替え真冬と真幸達の方へ。
真冬、真幸「!」
門は開いていて、普通に入って来たらしい。
すると、
真冬「////」
赤面?
「真冬?どうしたの?」
真冬「えっ、あの、誰?あのカッコいい人」
と指差す先には、雪。
「古宮雪、私が今護衛をする人」
真冬「!!」
真幸「そっか」
………。
もう、3年ぐらい顔合わせしてないかな。
私は中学入学と同時に、組に移ったから。
「で、どうしたの?」
真冬、真幸「!」
真幸「姉さんが実力を確かめたいらしいから、祖父ちゃんが手合わせしてこいって言われて」
真冬「うん」
「そっか、なら、いつでも良いよ」
真冬「え?」
真幸「正気?」
正気?って。
「だけどその前に、雪!」
雪「何?」
いつの間にか隣に居た雪。
「今からちょっと試験するから、離れてて」
雪「えっ?うん」
と、下駄箱に移動した雪。
「じゃあ、どこからでもお出で(殺気1%)」
真冬、真幸「ビクッ」
殺気に怯んだと思ったら、
シュッ
!!
2人息ピッタリで殴り掛かってきた。
そして、この後もどんどん掛かってくる2人。
まるで双子のように息がピッタリ。
このまま技を磨けば、もっと強くなる。
でも、力量は知れた。
真冬「うっ!」
真幸「なっ!」
ドカッ
緩めに手加減を加えて殴ると、2人は尻餅を付いた。
と、
真冬「どうだった?」
と、焦るような感じで聞いてきた真冬。
もしかして、雪が好きになったのかな?
と思いつつ、
「2人+組員が着いてるなら、雪の護衛をして」
真冬「!」
真冬はとても嬉しそう。
けど、
真幸「姉さん、それでどれぐらいの力出した?」
真幸は、それ程大して嬉しそうでも無かった。
「10割中、1、2割」
真冬、真幸「!?」
「そんなに驚かないで。2人は一気に来ると強いよ」
と言っていると、走ってきた雪と黒薔薇と最強5人。
………。
真冬「////雪、君」
真幸「あらら」
………。
雪との恋は、あり得ないか。
少しでも、恋と言う感情が私の人生にあるかもしれないと思ったのがバカだった。
組の若頭何て、いつ死んでもおかしくないし、私は異質だ。
清楚な可愛い真冬と比べると、誰もが真冬を選ぶだろう。
恋愛感情、か。
私は、開けてはいけなかったパンドラの箱を、少し開けてしまったらしい。
けれど、まだ遅くない。
私は、静かにパンドラの箱を閉じた。
………。
雪「有栖!」
ハッ!
走ってくる雪を無視して、
「私が護衛から外れるのはいつ?」
真幸「早くて、今日の今から」
!!
「………そっか」
真冬をチラッと見ると、愛しそうに雪を見ていた。
………。
「オッケー」
と言い、雪の方を見る。
雪は私の後ろに今付いたようで、少し息切れて居た。
「雪」
雪「ん?」
あっ、違う。
「いいえ、雪様」
雪「!?有栖、雪って呼んでって言ったよね?」
と言うと、同時に私は片膝を着く。
黒薔薇、最強5人「!?」
真冬、真幸「!!」
「はい。ですが、護衛は本日この時より、私の妹の真冬、そして弟の真幸が勤めます」
雪「えっ?」
そして、やっと着いた黒薔薇と最強5人。
心咲「え?有栖?」
雅「どうしたんですか?」
楓「??」
華「これは」
悟「組関係、ですね」
尚「せやな」
海、陸「「有栖」」
皆が、何か何かと気になってるらしい。
と、
雪「嘘、だよね?」
「いいえ」
雪「だって、昨日今日だよ?」
「………」
雪「有栖!」
「………申し訳ありません」
雪「!!」
「勝手ながら、申し訳ありません」
雅「えっ?」
心咲「有栖?えっ、雪君、どういう事?」
雪「………有栖が、僕の護衛を辞める」
一同「!?」
「ですが、私の代わりに私の弟と妹が、護衛に就きますので」
と言い立ち上がり、
「短い間でしたが、お世話になりました」
と言い、空いている門から出る。
雪side
行ってしまう。
有栖が、僕の、愛しい人が。
いつの間にか、ホントに短い間に膨れ上がっていたこの感情。
そして、今門から出てしまった。
「有栖」
返事をしてくれない。
「有栖」
強く言っても、振り返ってくれない。
「有栖!」
有栖「………」
ただ、背を向けたまま走っていく有栖。
すると、
真冬「あの」
え?
あぁ、護衛の。
真幸「僕達、姉さんから護衛をするよう言われたんですけど」