車は飛ばしていたため、ものの数分で古宮に来れた。



車を降り、雪に付いて屋敷に入る。



しばらく歩き、ある一室に入る。



そこには、豪華と言うよりもシンプルな空間があった。



そして、その中のソファーに座る茶髪黒目の男性。



すると、



組長「聖君、もう具体的に2人にも話そう」



と組長が言うと、ソファーに座っている男性が「そうですね」と言った。



どうやら、この男性が聖と言うらしい。



………今更だが、古宮は一体どんな家系なのだろう。



確か、世界トップの財閥だったと思うのだが。



と、



聖「どうぞお掛けになって。雪はこっちに」



雪「うん」



組長「では」



と言う感じで、向い合わせのソファーに座り、神塚と古宮に別れて話をすることとなった。



と言って、私は何の話をするかも知らされていないため、さっきから無言なのだが。


すると、



聖「まず、自己紹介をしようかな。私は、ここ世界No.1古宮財閥の現社長の、古宮聖。宜しく」



「はい」



雪「僕は古宮の跡取りの、小見山雪。宜しく」



「はい」



組長「私は、世界No.1神塚組組長、神塚秀吉といいます。有栖」




ハッ!



「神塚の若頭の、神塚有栖といいます」



と自己紹介を終わらせ、本題に。



すると、



雪「あの、有栖、さん」



「はい?」



さん?



何故さん付け。



と思っていると、



雪「髪と目の色と服がちょっと違うけど、心咲と一緒に来た子だよね?」



えっ、あっ、そうか。



確かに、パーカーを心咲に着せたし、スカートは上げて短くしたし、ウィッグとカラコンは取ったから



全然違うんだ。


「はい。私は心咲の親友で、先程も会いましたよ」



雪「そっか」



聖「知り合いかい?」



雪「心咲の親友」



聖「あー」



と、私を見ている聖さんに、



組長「聖君、話をしても?」



と言うと「あっ、はい」と言い、話が始まった。



秀吉「まず、何から話そうかな。私達はこの件以前からの友人だったんだ。で、最近身の回りで視線を

感じる。と言われたから調べ始めたんだ」



えっ、それだけ。



秀吉「始めは組員を潜入させた。すると、確かに殺気を感じると言ったから調べてたんだが」



??



秀吉「最近、柴木が動き出してるだろう?」



雪「柴木って、今日」



「心咲を拐った連中です」



秀吉「その事を聞き、柴木を疑う事にした。何せ、他の組を調べさせても、なにもかも動いていない

ようだからね。………雪君関係は」



「そうですか」


柴木が、雪を。



秀吉「正確な理由は分からないが、仮説はいくらでも立てられる。まぁ、今は言わないけどね」



………。



雪「僕は、どうしたら良いの?」



聖「そうだねー」



と、何か悩んでるような言い方だった。



すると、



秀吉「私的には、有栖と四六時中一緒に生活して欲しいよ」



えっ?



雪「えっ、何で」



秀吉「雪君は、確かに全国のトップには居る。でも、有栖は世界No.1の組の中で1番強いし、雪君も

見ただろ?有栖の早打ちに、柴木の連中から心咲ちゃんを助けたのを」



雪「はい」



秀吉「護衛としては、これ以上心強いのは居ないと思うよ」



………何故そんな爽やかに笑うのだろう。



雪「………」



聖「雪、僕もそうして欲しい」



えっ。


私の意見は?



………聞くわけ無いか。



雪「どっちでも良い」



どっちでも良いって。



聖「おぉ、では秀吉さん」



秀吉「はい」



と言うと、私に向き直り、



組長「有栖、良いね」



と言った。



「御意」



すると、



秀吉「では、私は帰ります。有栖をお願いします」



と言い、スゴい速さで出ていったお祖父ちゃん。



………。



少しの間沈黙が続き、



聖「じゃ、じゃあ、有栖ちゃんには雪の部屋で一緒に居て貰うってのは?」



と言ったのだ。



雪「えっ」



………。



聖「勿論、雪の部屋の隣は有栖ちゃんの部屋で、荷物も用意してるけど、なるべく雪と一緒に居て

欲しいからね」



………。



雪「えー」



っと、私を横目で見る雪。



聖「勿論、お風呂も睡眠も一緒にね」



………。



雪「えっ」



………何も言えない。



聖「決まり!じゃ、早速入ってきて。有栖ちゃんのは脱衣室に置いてあるから」



と言いながら、私と雪の背を押す聖さん。



そのまま押され続け、部屋を出されてしまった。


そして、しばらく沈黙が続いた。



………。



無言ではあるが歩き出した雪に、いや、雪様に着いていく。



そして、脱衣室に入ったとき、



雪「有栖、さんは、良いの?」



と聞いてきた。



「はい。それと、さん付けはお辞めください。有栖か神塚、分かりやすいものに」



雪「えっ」



私の態度が変わったからか、地味に引いた雪。



………。



「何ですか?」



雪「えっ、あっ、その、あの」



何でそんなに詰まるんだか。



雪「分かったよ、有栖」



「はい」



………。


そして、話も終わったので服を脱ぎ始める。



………。



な、何だろう。



物凄く視線を感じる。



見ると、雪が赤面してこちらを見ていた。



今私は下着姿。



………。



「あの、失礼ですがお脱ぎにならないのですか?」



雪「あっ、うん」



と言い、脱ぎ始めた雪。



やはり、私の貧相な体つきに呆れたのだろうか。
(有栖の体型はモデル以上です。bye作者)



そして、服を全て脱いでタオルを巻き、雪の後に続いて風呂場入る。



と、そこは家の組に負けないぐらいの温泉だった。



で、まず髪と身体を洗う。



………その間、会話は一切無かった。



そして、温泉に浸かる。


雪様が先に入っていたので、隣に入ると、



雪「ちょっ////」



と、引かれた。



「体型が悪くても、護衛なのですから我慢してください」



雪「~//////」



と、何やら温泉に顔を半分沈ませて、ブクブクと鳴らす雪様。



何をしてるんだか。



と思いながら温泉に浸かっていると、



雪様が顔を上げて、



雪「有栖は、恥ずかしくないの?」



と聞いてきた。



恥ずかしい?



………別に、かな。



「恥ずかしくありませんよ(ニコッ)」



雪「………そっか」



と下を向いた雪様。