「愛莉、送っていくよ」



浩ちゃんの家から帰ろうと、靴を履いていると浩ちゃんがリビングからバタバタと走ってきた。



「せっかく家族水入らずになるんだから。たくさん話とかしたほうがいいよ」


「……たく。1人で帰らせてなんかあった方が怒れるっての」



はぁっとため息をついて、浩ちゃんと靴を履く。



「あたしたちはいくらでも時間あるんだから。気にしないで送ってもらいなさい!」



笑顔で浩ちゃんの背中を叩くのは浩ちゃんのお母さん。



「すみません。少し借りていきますね」


「もうずっと借りててちょーだい」



冗談ぽく笑うお母さんに、あたしも笑みがこぼれる。

久しぶりに浩ちゃんとやってきたあたしをあのころと同じように、迎え入れてくれて。
あたしが家族との仲が修正できたことに、まるで自分のことのように喜んでくれた。