「まず、愛莉の家行こうか」



浩ちゃんの言葉に、握られた手をさらに強く握る。



「そんな固くなるなって。大丈夫だから絶対」


「うん」



浩ちゃんの言葉は、魔法のよう。
浩ちゃんの「大丈夫」は本当に大丈夫な気がしてまう。



「とりあえず、年末の挨拶な?そのあとは俺の実家行こう」


「年末に行って迷惑じゃない?」


「大丈夫。うちの家族、愛莉のことみんな大好きだから」


「ふふ」



いつだってそうだ。
浩ちゃんの家族はみんな手放しであたしのことを可愛がってくれる。

浩ちゃんとの会話がなくなって、1人で訪れた地元でも浩ちゃんの家族は暖かかった。

浩ちゃんのことが大好きだけど、浩ちゃんの家族も大好きだ。

あたしは家族の愛をあまり受けれなかったから、どうして浩ちゃんの家に生まれなかったんだろうって嘆いてたな。