「お前、それ本気……「大ちゃんのこと悪く言わないでよ!」



大ちゃんだって、苦労してるのに。
何も知らないで、彼のことを悪く言う京香ちゃんに無性に腹が立って、浩ちゃんの言葉を遮って叫ぶ。



「えー?なにそれ?浩一くん、この子まだ大輔くんのことが好きみたいよ?」


「……お前はほんと昔から変わんねぇな。行くぞ、愛莉」



あたしの手をとって、京香ちゃんに背を向ける。



「あたしの方が絶対浩一くんのこと好きなんだから!」


「うるせーな。あいつ」



京香ちゃんの言葉に振り向くことはなく、そのまま歩く。



「ごめんね、なんか大ちゃんのこと……」


「なんで謝んだよ。大輔とずっと一緒にいたんだから、あいつよりお前のほうが分かってるの当たり前だろ?腹立って当然だよ」


「うん……」



咄嗟に出ていた言葉だけど、好きな人のことを考えるべきだったかなとも思いもした。