両思いなふたりなんて、なかなかいるもんじゃない。
誰かの悲しみの上に成り立っているんだ。



「なんか、このまますぐに俺らが付き合うっていうのも……」


「うん、まだちゃんと大ちゃん納得してもらってないしね」



普通に考えれば、お互いがお互いを好きなのだから付き合えばいいんだと思う。

偽善だと思われるかもしれない。
それでも、あたしたちはこうする道を選ぶ。



「俺らのペースでいこう。ゆっくり。俺、ちゃんとだいすのこと納得させるから」


「うん、でもあたしは浩ちゃんが好きだから」


「うん、俺も愛莉のことが好きだから」



お互いに気持ちを言い合って、笑いあって。
そして口付けをし合う。

カタチなんかにとらわなくていい。
ゆっくり、ゆっくりと進めていこう。

大ちゃんのことを解決して、そして、幸せな日々を手に入れるんだ。