いま、あたしと関係があるのは、大ちゃんなのに。
あたしの彼氏は大ちゃんなのに。



「だって、別れてからもずっと気にしてたじゃん。俺が何度言ったってその人にはかなわなかった」


「……大ちゃん」


「やっと愛ちゃんを手に入れたのに、どうして今更現れなきゃなんないんだよ……」



やるせない表情で、そばにあるクッションに拳を当てる。



「あたしは、大ちゃんの手を取ったあの日から、浩ちゃんのことは忘れたよ」



忘れてなんかいないけど。
忘れたことなんかないけど。

でも、大ちゃんの手を離したいとは思っていないから。



「そんな嘘つかなくていいよ。忘れてなくてもいいからって言ったのは俺だから」


「……大ちゃん」


「ごめん、今日はもう1人になりたい」



肩を落とした大ちゃんが寝室に入っていく。