折角本当の事を言える機会が有るのだから、言ってしまえと口にしすると、鈴木は何度も頷いていた。
「やっぱりな。そうじゃないかって思ってたんだよ」
「え?」
「いや、ほら、一緒に仕事するようになって、色々見えて来るんだよ」
『え?バレたの?!』
焦っておろおろしている杏奈をよそに、鈴木が続けて話す。
「見た目ふんわりしてるから、ちょっとキツク言ったら辞めるんじゃないかと思ったけど、お前は逆に食らいついて来て、残業も文句言わずにやるし、あぁ中と外が違うんだ、ちゃんと中身を見なきゃなって思った」
「詐欺だって言わないんですか」
今までの相手だと、見た目と中身が違うと杏奈を否定してきたのに、鈴木は杏奈を肯定している。
その事に戸惑ってしまう。
「なんで?見た目と中身が違うと詐欺になるんだ?逆に面白いだろ」
お世辞ではなく本気で楽しそうな鈴木の顔をマジマジと見てしまった。