「いや、俺が休日なのに仕事をしてたから」

「忙しいのに付き合わせてすみません」

会社に来て間もない凱は、色々と忙しいだろうに、家で休む時間を潰してまで、付き合って貰って申し訳ない気持ちで一杯だった。

「違う。俺が付き合って貰ってるんだ。
あぁ、着替えてくれば気を使わせずに済んだな」

凱の表情は分かりにくいが、勉強会を通して大体の喜怒哀楽が分かるようになった。

今は、明らかに気落ちした凱が何だか大型犬が叱られているように見えて可愛く見えた。

『可愛い?!』

180を超える長身に、オーダーメイドであろう上質の生地で体にぴったりのスーツを着た、落ち着きのある彫りの深い男らしい色気のある顔立ち。

こんな見るからに出来る男の凱を捕まえて、可愛いと思う自分は大丈夫だろうかと心配になった。