今までに付き合った彼氏に車のウンチクをしたらドン引きされた経験を思い出した。
「そんな事はない。俺はあまり詳しくないから、話が合わなくて申し訳ないけど」
「そんな!ドン引きされないだけで十分嬉しいです!」
『良かった。引かれなくて。回りの男は、女は助手席ってタイプの人ばっかりだったから、否定されないだけでも嬉しい』
ホッと胸を撫で下ろした。
聞くと、凱は運転はあまり好きでは無いらしい。
『私が彼女だったら、バンバン運転するのになぁ』
容姿に惹かれて来る男は、皆杏奈を助手席に乗せて、お嬢様扱いをして、愛でていた。
運転は好きだが、結局運転する機会は、実家の車に乗るくらいしか無かった。
『じゃぁ、今まで無理してたのかな』
余り好きでは無いと言っていたが、運転自体は上手く、どちらかと言えば好きなのでは?と思う。
『もしかして、気を使ってくれてるのかな』
凱の運転する横顔を眺めながらそんな事を考えていた。