凱は少し走って邪魔にならない場所に停車して、カーナビを操作して水族館へのルートを探そうとしていた。

停止したまま時間が過ぎている事に、やっと気付いた杏奈が凱の方を見ると、無表情のまま操作ボタンを押しては手が止まり、何か考えてまたボタンを押すを繰り返す凱の姿があった。

「あ、気がつかなくてごめんなさい。カーナビの設定、私がしますね」

そう言って、カーナビのタッチパネルを素早く操作して、目的地の水族館を登録し、ナビを開始する。

「ありがとう。また、かっこ悪い所を見せたな」

少し困った顔をした凱を見て、何故か胸が苦しくなった。

「気にしないで下さい!私カーナビも弄るの好きですから!」

自宅の車は何年も乗り換えていないので、カーナビもかなり古い。

こんな最新のカーナビを弄れるとは思っていなかったので、かなり嬉しかった。

「もしかして、車も好き?」

「はい!あ・・えと・・運転するのが好きなんですけど、やっぱり引いちゃいますよね。
この見た目とのギャップ」

即答してしまった事を後悔した。