「っおまっ!」

慌てて鈴木を押しのけようとしたら、あっさりと鈴木が手を放し、椅子から落ちそうになった。

「こんな感じに引き寄せてだ、俺らの前で濃厚なキッ」

「わぁぁぁぁぁ!!!もういい!!もういいです!!」

先程の冷えた身体から一転、また沸騰しそうな程体中が暑くなる。

慌てて身振り手振りも交えて会話を止めさせたが、頭の中はぐちゃぐちゃだった。

「んで、最後はお姫様抱っこして、颯爽とその場を後にしたのでした。
おしまい」

ニヤニヤ笑いながら物語口調で話す鈴木を呆れた様に見る山葉と、放心状態の杏奈だった。

「おーい!大丈夫か?」

杏奈の前で手を振るが、反応が無い。

『え?!どういう事?!が、凱が私の事を女だと思ってたって事?
我慢してたって事?
・・・・でも、私の行動の何処に好かれる要素があったっけ?』