パパの命の恩人に。
「あの…、ほんとに、ほんとにありがとうございました。」
頭を下げる私にその人は、
「別に、お前のためっていうわけじゃねぇし…。気にしなくていい。勝手にしたことだからな。」
しっかり私の目を見てそう答える。
「でも…パパの命の恩人には変わりないです。言葉だけじゃ足りないと思ってるくらいなんです。」
あいにく…今はお金が無いから何も出来ないけど。
「…お前、時間あんの?」
「今は…ちょっと、病院に荷物置きにいかなくちゃ行けなくて…。」
「そうか。じゃあ、そのあとでいいからお願いあんだけど。」
…どうしよう、変なお願いだったら。
でも、パパを救ってくれた人のお願いなら聞かなきゃだめだよね…。
戸惑う私の顔を見て、フッと笑いながら
「安心しろよ、脱げとか言わねーから」
なんて言うもんだからボッと自分の顔が熱くなるのを感じた。