結局二人して『暑い』だの『溶ける』だの夏というものに散々愚痴を言いながら近くのファミレスへと移動した。
「先輩頑張って生きるならそんな文句ばっか言ってちゃだめじゃないですか」
「さすがに限度っつーもんがある」
「いやそれ言うなら私に死ぬなとか言えませんから」
「いや死ぬのはだめだから」
「そりゃそうだけど」
でも先輩、さっき『暑すぎて死ぬ』って言ってたからね。
ちゃんと聞いてたんだからね。
それこそ頑張って生きなきゃダメでしょ。
「そういえば先輩ってあそこで監視初めてどのくらいたつんですか?」
「監視って。
んー、3月からだからまだ4ヶ月くらい」
「私以外に誰か来ました?」
「たまにくるよ。カップルが」
「あー、それ完全に目的違って先輩邪魔なやつですね」
「ん、でも俺は悪くないからガン見」
「性格悪」
「コラ」
でも確か毎日あそこにいるわけでしょ?
話聞いた限りでは昼休みもいるっぽいし。
……どんだけ暇なんだよ、おい
「先輩受験生なのにのんきにそんなことしてる場合ですか?」
「え、けっこういいことしてるつもりなのに」
「他人の心配より自分の人生必死に生きてください」
「まぁ俺は受験勉強とか必要ない部類の人だから」
「それはもしかして天才って言ってる?」
「当たり前」
「そろそろ暑さでやばくなってきましたね。大丈夫ですか?」
「コラ」
んー、でも大学なら推薦もあるし、そこまで上目指さなければ普通に行けちゃったりすんのかな。
それか就職?
どっちにしろ、日頃の成績は影響あるよね。
「……っていうか、そんな大事に時期にそんな茶髪でいいんですか?」
「だから俺にはそういう努力は必要ないから」
「そういう問題ではないと思うけど」