「…もっかい。」

「え?」

「お願い、もう一回!」

「こら、往生際が悪いぞ~」

「お願いお願いお願い!!」


私が、隣に座る優斗くんの膝に手を置いて懇願してると


━━━ガラッ、と

パソコン室のドアが開いて、そこには神谷圭介先輩が立っていた。


「…なにしてんの」

「え?遊んでただけ。
ね、真希ちゃん」

「あ、うん
でも優斗くんが大人げなくて」

「いや、真希ちゃんが敗けを認めないから」

「先輩なんだから手加減してよ、大人げないなぁ」

「…真希ちゃん?ハンデあげたでしょ?」


なんて、くだらない言い合いをしていたら


「飯、行こ?」


いつのまにか、私の手は先輩に握られていた。


「えっ。あ、うん
優斗くんも行こうよ」

「…いや、俺はいいや。
弁当あるし、午後も俺は補講あるから」

「えー、そう?」

「うん、いいよ」

「行こ」


優斗くんに返事する暇もなく、先輩が私の手を引っ張って私を歩かせたから


「ちょっ…、優斗くんまたねっ!」


振り向いて、にこやかに手を振る優斗くんに私も手を振った。