「でも、神谷の好みはバッチリ押さえた顔してるよ!」
「…ふっ、それめっちゃどうでもいい情報ですよ」
そのグーサインはなんなんだ。いいね!サインはなんなんだ。
なんて笑ってたら
「あ、笑った」
優斗くんは私の顔を覗き込んできた。
「な、私も普通に笑いますよ」
「笑ってた方が可愛いから笑ってなよ」
「可愛いからという理由で笑顔振り撒いてるのはただのぶりっ子ですよ」
「そういうのが男は好きなんだって」
「女からは一番嫌われるやつですけどね。
別にモテたいわけでもないし」
「せっかく可愛い顔してるのに、もったいな」
「楽しいときは笑うからいいんです」
そんな、いつもにこにこしてるなんてただの人形じゃん。
私は絶対に、そんなお人形さんにはならない。
「ところでさ、真希ちゃん」
「なんですか?」
「ここ、暑くない?」
「暑いに決まってるじゃないですか」
8月上旬、真夏。
暑さもMAXだって。
「んじゃさ、涼しいとこいかない?」
「なんかあれですね
怪しいナンパみたいな誘いかたですね」
「・・・校内だから」
「ま、それならいいけど」
とにかく暑い。
この校舎内に涼しいところがあるなら、ぜひとも連れてっていきたく、私は立ち上がった。
「神谷もよくあんなとこ毎日いるよな」
「バカなんですよ」
「それは間違いない」