それから毎日毎日、私たちは朝9時過ぎに屋上で待ち合わせ、昼前には別の場所へ移動する、なんて
変な関係になっていった。

友達でもない

恋人でもない

先輩後輩関係でもない

よくわかんない関係性。
でもまぁ、おかげで私も毎日楽しくて、先輩もきっと楽しんでくれてると思うし
わざわざその関係性を問う必要もない。

お互いなにかを求めることもないし、変な執着心もなくて
このさっぱりとしたドライな関係が、本当に楽だった。


そんな私たちが知り合って10日、8月にも突入したこの頃……
今日も私は朝から屋上にいた。

━━━けど


「おっそいなぁ」


先輩はなかなか来なくて
というか、いつも私の方が後だから先輩を待ったこともなくて

ついに飽きられたか……?と不安にもなったけど


「あ、真希ちゃん?」

「・・・え?」


知らない男の人が1人、屋上へとやって来た。
体育会系、か…?
先輩と違って色が濃い。そして分厚い。筋肉質だ。


「あ、俺神谷の友達の木村優斗。
あいつと同じクラスなんだよ」


「へー」


先輩のお友だちか。
・・・で、なんであなたがここに?え、先輩は?


「神谷、今日担任に捕まって今補習中なんだよね」


だから俺が伝言に、と
とってもさわやかに笑われた。

笑われた?微笑まれた。ははっ、とな。


「……あの人でも補習とか受けるんですね」

「ずっとサボってたからさすがに」

「サボるなよな」

「ほんとそれな」


私たちは超普通のトーンで、お互い真顔のままそんな話をしてたんだけど


「ははっ」

と、またこの人は笑った。


「なんか、神谷が気に入った子だけあるなぁ
そのテンション、俺も好きだよ」

「・・・はぁ」


よく、わかんな……