よく見ると、私も前に、元彼と訪れた場所。
まさか、そんな場所に彼と一緒に夜景を見るとは。もう2度と来ない場所だとそう
思っていたから。
「誰かときたことあった?」私は、嘘をついても仕方ないから、正直に答えた。
「うん。前にね元彼と来た事あるよ。いつも女の子連れてきているの?」
「違うよ。俺も何度か来た事あるけど、ここは、気に入った子しか連れてこないよ」
その言葉が、嬉しいものなのか、わからず、素直に喜ぶ事はできなかった。
やっぱり、遊んでいる人なんだなって・・私には、程遠い存在だなって・・。少し切なくなった。
「寒いし、車に戻るか?なんか寒いし暖かい物飲みに行こう」
「そうしようっか。」
急に私の手を自分のポッケにしまい、寒いだろ?って・・
私は、照れくさくて、頬が一気に赤くなった。こんな事された事ないし・・
まるで少女漫画の主人公になった気分で胸がいっぱい、いっぱいだった。
そんな私の赤く染まった顔をみて、彼は私をからかうように「お前可愛いな」
余計に赤くなった。彼に可愛いって言われた事が嬉しくて、彼に恋をしたって
この時、確信したよ。私、彼の事が好きだって・・・
彼に振り向いてもらうまで、逃げない、理想の女の子になろうってこの時決めた。

車内に戻ると彼は、暖かい飲み物を自販機で買って私にくれた。
「この後どうする?俺の家近いから寄ってく?」
私は、何処にでもいる軽い女って思われたくなかったから、「今日はもう遅いし明日も仕事あるから、今日は帰るね。」そう彼に伝えた。彼は、少しさみしそうな顔して、
「まだ時間あるし、一緒にいたかったけど、また会えるしな。送るよ」と言ってくれた。
「本当にまた会えるよね?」ついつい心の声が出てしまった私に対し、彼は、
「おう!連絡するから、待ってて」本当はね、帰りたくなかった。このままずっと
一緒に過ごせたらって帰り道、何度も思った。でも、好きな人との「またね」って
言葉があるって、幸せだなって。些細な小さな事も今は、幸せって思えた。
彼に送ってもうら道のりは、向かう道のりより短く、早く感じた。
あっという間に着き、またねって挨拶をして車を降りた。彼の車が見えなくなるまで
私は、手を振って、見送った。