何処に行くのか、さっぱりわからない私を乗せてただただ車は走っていく。
車内の中では、彼と色んな話をした。仕事の話。好きなタイプ、元カノの話、彼の好きな趣味・・・車内は、バーであの時聞いていた、曲とは違い、耳にあまりしたことがない、ヒップホップだった。一つ話していて分かった事が私にはあった。
彼の好みは、細くて可愛い女のひと。私とは、魔逆な人がタイプだって事。
聞いていて、私には、彼の心をつかむ事ができない。そう感じた。
そんな事を考えてしまう私は、もう彼に恋をしているのだろうか?
そんなに簡単に恋をするものだろうか?不思議だった。自分の事なのに・・
分からなくなった。そうこうしているうちに、目的地に着いた。
「降りて。一緒に歩くぞ。」「うん・・」なれないヒールを履いてきた私に夜中で真っ暗な坂道を登るのはきつかった。それを見た彼は、「はい、手」私に、手を差し伸べてくれた。彼に甘え、手を借りる事にした。あったかい手。人の温もりってこんなに
暖かいんだな・・久しぶりすぎて忘れていた感覚を思い出した。
てっぺんまで、登ると、綺麗な景色がそこにはあった。きらきら輝く夜景だった。