「ってことは転校生?だからロッカーの順番変わるとか言ってたのか〜」


永見さんは机に手をつきながら言った。


「前はどこにいてたの?もしかして他の県から?」


由布さんの質問に、大和さんが顔を青ざめさせた。
やばい。
答えられず俯いて手を組む大和さんを見かねて、思わずでっち上げる。


「あ……この前まで入院してて、学校来れてなかったの。でも単位は取れてたから留年せず晴れて高校へ」


感心するくらいなめらかに嘘をついた。


「体弱いの?大丈夫?」


「あは……今は大丈夫です」


由布さんに覗き込まれ、青白い顔を強張らせる大和さんはまさに病み上がりの女子高生だった。


「よかった〜。学校始まったら仲良くしようね!途中からとか全然気にしないから!」


既視感のあるハイテンションに目眩がした。
四月もこうだった。


二人が去って言った後、待っていましたとばかりに席を立つ。
そして廊下へと消えていった。