今までスマホや黒板など、詰め込まれた中から探ることが多かった。
今日は青空や町や山がいっぺんに飛び込んでくるけど、どこから見てもいいんだよと言われているみたいな余裕があった。


黒板に何十文字か詰め込んだらごちゃごちゃして見えるのに、百以上立ち並ぶ家は気にならない。間近で見ればどうも思わない町が、上から見ると壮大に見える。
広さと見方って重要なんだなと思う。


ぎゅっと詰まったものを見すぎると目が疲れる。だからたまにはあんな景色も見に行きたい。



目の疲れが取れ、筋肉痛になるかと思った体も疲れてよく寝たせいか軽かった。
お母さんに学校に行くんでしょと起こされ、朝食べ終えてからスムーズに準備を終わらせる。


修了式以来一度も動かさなかったペンポーチと、適当なノートと、数学の教科書。
リッュクサックは軽く、防寒具は重装備で、お母さんと同時期に家を出た。


最寄駅から学校の近くの駅へ。毎度おなじみ電車の暖房からの冷たい空気。
空いている階段をラッキー、とすいすい上る。


駅の外には他に制服姿の学生がいない。
それはこの先の道でも同じだった。自習と聞いて集まるほどうちの学校は勉強熱心じゃない。一学年抜けているなら尚更。


学校近くの横断歩道では、他の生徒を発見した。運動部らしい斜めがけカバンの肩紐を握りながら、どうせ弱小だしと愚痴をこぼしていた。


後ろについていく形になり、盗み聞きしている訳じゃありませんと念じる。友達と帰らなくなると知らない人の後ろについて歩くことが多くなり、変に思われないかと不安を覚えるようになった。