合格発表の日は泣いていたけど、私はこの学校でよかったんじゃないかと思っている。
スマホを持ってくるのが禁止なんて、辰也には耐えきれないだろう。パンフレットからも自称進学校の空気を感じたし。


私の学校はもちろん持ってきてもいいし、休み時間なら使ってもいい。けど授業中に使う人も多数いる。私もその一人だ。
それでも欠点は取っていない。


お父さんと私は黙々とご飯を食べる。
食事の時の会話はいつも分断されていた。お母さんが辰也と話す時は、お父さんと一緒に無言になる。


反対に私がお母さんと話す時、辰也は無言になっていた。
辰也がお父さんとは話す時は、二人の間にお母さんが混ざってくる。
お母さんが話をふってくる時もあるけど、会話に混ぜようとしてくる気配を察知して、話が続かないような返事をする。


辰也とお父さんとは絶対に話をしない。
そんな暗黙の了解を生み出した。


お父さんとは今更どう話せばいいのかわからなくて避けているだけ。辰也は……私のことが嫌いだろうから、こちらからも避けてあげているだけだ。


「ごちそうさまでした」


お父さんと辰也がほぼ同時に食べ終えた。二人は食べるのが早い。
よくお母さんに、ちゃんと噛んでる?と言われている。


反対に私は食べるのが遅い。それのせいで給食の時は嫌な思いをしたものだ。


私は辰也とお父さんと正反対だ。