砂利とガードレールの道に来ると、待ちきれずに勢いに任せて足を出した。


三つの鉢とそれを見る安芸津さんに迫り、ギリギリのところで止まった。


流石に膝に手をついて息を切らせていると、芽が出たぞ、と呟いた。
左に向け、膝に手をついた状態で視線を落とすと、黒く湿った土から三つ仲良く芽が出ていた。
濡れた土の匂いと、黄緑色の葉に乗る雫が喜びを呼ぶ。


安芸津さんの顔を覗き込むと、唇に力を込めて押さるも口角はぎゅっと上がり、目に力がこもっていた。


「よかったです……やっぱり出ましたよね」


「そうだな」


めずらしく声が震えていた。


「写真撮っていいですか?」


「もちろんだ」


一鉢ずつ写真を撮り、しばらく眺める。


「打って変わって晴れ晴れとした顔だな」


「はい。ずっとかかっていたモヤから顔を出せたんです」


視界がやけにクリアになった。だから安芸津さんのその笑顔が余計に綺麗に見えて、心臓が落ち着かない。


やっぱり安芸津さんに会えてよかった。