「そう。ならいいけど。
それより、なつきさん。
首に出来ているこれって・・・?」

と女性の人は私の首に手を触れた。

「あ、こ、これは・・・その・・・」

「あの若様に何かされたの?
私達女同士なんだから、遠慮することないのよ?」

「はい。あ、あの・・・あなたは?」

「あ、申し遅れたわね。
私は若様の知り合いの早真見琴(はやま みこと)ですわ」

「見琴さんですね。
私は―――」

「知ってるわ。楢井なつきさんでしょ?」

「ど、どうして私の名前を?」

と聞くと、見琴さんはふふっと口元を押さえ、「ひみつ♥」と言われた。

「そんなことより、これは―――?」

「はい・・・
実は、この前に野村君に付けられてしまって・・・」

「いわゆる、キスマークってやつかしら?♪」

「はい。本人はそう言っていました」

「へぇ~・・・キスマーク・・・ねぇ・・・」

と、小声で野太い声でそう呟くその女性の声は、どこかで聞いたことのある声がした。